【ナノマシン被験体07:受験生・恭美子】精神凌●
志望校に合格したい女学生が、父親の紹介で勉強を教えてもらうことになった研究者からナノマシンによる記憶情報の挿入や脳改造などの『教育』を受けることになる話。
文字数は約13,000文字。
「ど、どうして、あんなに簡単に解けるんですか?」
恭美子は目を丸くする。
「教科書に載っている用語や年表などはすべて、今飲んだナノマシンが覚えさせてくれましたわ」
研究所で働いている真奈美という名の女性は、そう言って微笑んだ。
「どうかね、君も使ってみたくなったのではないかな?」
男がそう言って微笑むと、恭美子はごくりと唾を飲み込んだ。
「で、でも。これって不正なんじゃ……」
「まさか。脳に直接知識を送り込んで定着させるというのは、時間さえかければ記憶できることを短時間で済ませているに過ぎないのだからね。単に効率のいい勉強法をしているというだけだ」
恭美子は、迷うように視線をさまよわせたものの。
じきに、意を決した様子で言った。
「あの、お願いします。私にもその、ナノマシンを使わせてください!」
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『より多くの情報が入るように、夜間のうちにあなたの脳を整理して、次の学習に備えて容量を空けておきましょう』
「整理? どういうこと?」
首を傾げる恭美子に、研究所から貸与されたタブレットはこう告げた。
『人間は寝ている間に、夢を見ることで不要なデータを削除し、情報を整理します。私があなたを誘導することで、より効率的に、そのようなデフラグ作業を行うのです』
「デフラグ?」
恭美子はきょとんとして、小さく首を傾げた。
『では、実際にやってみましょう。被験者は、画面をしっかりと集中して見つめてください』
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